大学入試改革がなぜ必要なのか~これまでの教育改革をふり返る

2019/12/20 ブログ
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【大学入試改革がなぜ必要なのか~これまでの教育改革をふり返る】

 

そもそも大学入試制度を変える必要はない?

 

大学入試センター試験が廃止され、2020年度からは大学入学共通テストに変更されることが決まっています。

 

英語外部検定の活用システムや国語・数学の記述式問題の採点方法など、この共通テストに関しては問題が多発しており、大学入試改革そのものについても賛否いろいろな意見がメディアやインターネット上をにぎわせているのはみなさまもご存じの通りです。

 

その中でも特に最近気になっているのが「センター試験をやめる必要なんかない」という意見です。こうした意見がでてくること自体は当然だとは思いますが、私には、大学入試改革についてこうした否定的な意見をされる方のほとんどが、どうも今回の改革の目的をご存知ないように思えてなりません。

 

そこで、これまでの教育改革の流れを、超ダイジェスト版で簡単にご説明したいと思います。改革についての賛否はともかくとして、今回の大学入試改革が必要とされた背景について、みなさまに少しでもご理解いただけたらと思います。

 

《大学入試改革がなぜ必要なのか~これまでの教育改革をふり返る》

 

実は、今回の教育改革のずっと前から、文部科学省は提唱していました。

 

『急速な社会の変化※に対応できる人材を育成するため、教育も対応しなければならない』

 

そこで、社会の変化に対応するために「画一的な詰め込み教育をやめて、主体的に行動できる人材を育成する」という目的でスタートさせたのがいわゆる『ゆとり教育』です。特に2002年度から施行された学習指導要領では、学習内容を3割削減するなど大きな物議をかもしましたが…

 

ゆとり教育によって学習内容を削減し、総合的な学習の時間を創設(したが機能せず※)

 

学力低下を招くとの理由で、公教育離れが進む(富裕層は私学・塾へ)

 

学力格差が拡大し、国際学力テストでの順位が低下

 

⇒ 2011年度施行の学習指導要領から『脱ゆとり教育』へ180度方針転換(知識偏重の詰め込み教育がさらに加速)

 

⇒「知識はあるが活用できない」「言われたことはするが、それ以外何もしない」若者が増える

 

⇒ 産業界からの要請で、再び知識偏重の教育を改める方針に転換

 

⇒ これまでの失敗を踏まえ、知識重視の大学入試を変えなければ何も変わらないという結論に達する

 

⇒ 2020年度より、知識以外の要素(学力の3要素※)を評価する新しい大学入試方法に変えることに

 

⇒ 自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を備えた人材を育てよう(これが本当の教育目標です)

 

※ 社会の変化には、グローバル化や少子高齢化のほか、現在まだ予想できない将来の技術開発による変化なども含まれます。

 

※ ゆとり教育がうまく機能しなかった原因としては、①学力低下への不安を塾や私学などの受験産業が必要以上にあおった②総合的な学習の活用方法や評価方法が確立できなかった③大学受験が知識重視のままで何も変わらなかった、などさまざまな要因が考えられます。

 

※ 文部科学省によると、学力の3要素とは「知識・技能」「 思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」と定義されています。

 

 

改革を阻んでいるものとは?

 

今回の改革に限らず、教育に関する問題については、教育分野に直接関係のない政治家や著名人の意見ばかりクローズアップされ、実際の教育現場や専門家の意見はこれまでずっと軽く扱われてきたような気がします。その結果、振り回され続けているのは教員とその教えを受ける子どもたちです。

 

教育とは、誰もが語れる身近なテーマですから、いろいろな意見があるのも当然です。しかし、これまで長い間議論や研究・検証を重ねてきた教育現場や専門家の意見をないがしろにする、というのはいかがなものでしょうか。

 

実際のところ、今回の大学入試改革も当初描いていた理念とはずいぶんかけ離れたものになってきています。

 

思えば、先のゆとり教育がうまく機能しなかったのも、塾などの受験産業が自分たちの利益のために、学力低下のへ不安を必要以上にあおったことが原因の一つでした。受験産業からの何らかのネガティブキャンペーンによって、再び今回の大学入試改革がつぶされてしまう可能性も否定できません。

 

いつの時代も、改革を阻むのは利権にしがみついている権力者です。

崇高な理念を持った今回の改革が、そんな権力者によってその形を変えてしまわないように願うばかりです。

 

 

 

 

 

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